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ニコン 300mm F4 PF ED VRでの野鳥撮影

 

2015年1月に、ニコンより野鳥撮影者にとって非常に魅力的なレンズが発売となりました。

 

『 AF-S 300mm f/4E PF ED VR 』 です。

 

フレネルレンズを採用(キヤノンで言うところのDOレンズ)し、300mmF4のスペックで重量755gと野鳥撮影の常識を覆すような軽量化を実現。さらに手振れ補正機構は絞り4.5段分の補正効果と野鳥撮影の機動力においてこれ以上の機材は存在しないでしょう。

 

キヤノンの初代 EF400mmF4DO レンズを所持していたときに、余り良い印象を持っていなかったフレネル仕様の望遠レンズですが、この機動力に大きな魅力を感じ発売後すぐに入手しました。この1ヶ月間じっくりとテストや実践撮影に使用してきましたので、その使用感などをレポートして参ります。皆様の購入検討の一助となれば幸いです。

 

 

 外観インプレッション
AF-S 300mm f/4E PF ED VR 外観

 

これまでも他の機材で比較に使用した 2Lペットボトルと比較するとその小ささはこれまでの野鳥撮影機材の常識を覆すレベルです。よく24-70mmF2.8クラスのレンズと同じ大きさと言われますが、このレンズは単焦点レンズですので、ズーム機構が無くレンズ構成枚数自体が少ない事もあり重量面では見た目以上に軽量です。付属品であるフードは余り高級感は無いですが、非常に軽量なのでこのモデルに適した仕様だと思いました。この他には純正のレンズケースが付属しますがカメラを付けた状態でレンズを収納できないので、筆者は使用することはなく画像も省きました。

 

 

タムロン 150-600との大きさ比較
AF-S 300mm f/4E PF ED VR 外観
AF-S 300mm f/4E PF ED VR 外観

 

タムロン150-600mmも非常に軽量な野鳥撮影機材として筆者もよく使用しており、機動力抜群のレンズとしてレポートもして参りましたが、このニコン新型34VRは1.7倍テレコンを付けても大きさ・重量共に半分以下ともはや比較にならないくらいコンパクトな機材です。縦位置グリップをつけるとレンズよりもボディの方が重たいので、右腕だけで野鳥を撮影するなんてことも可能です。実際にこの軽さがどういう風に野鳥撮影に活きてくるのかは後ほど詳しく作例と共にお話いたします。

 

 

スイッチ類
AF-S 300mm f/4E PF ED VR 外観

 

ニコンお得意のA/M、M/Aのオートフォーカスモードを装備し、VRは最新のスポーツモードがあります。フォーカスリミッターは FULL と ∞-3m の2段切替です。単焦点の望遠レンズですからフォーカス作動ボタン(キヤノンで言うところのAFストップボタン)も欲しかった機能ですが、やはりこのクラスのレンズには採用されないようです。

 

キヤノンの機材しか使ったことがない方に簡単に説明しますと、A/M、M/AモードというのはAF中にピントリングを回した瞬間にマニュアルフォーカスに切り替わる感度設定のようなものです。A/Mモードではピントリングをほんの少し回しただけでMFに切り替わりますが、M/Aモードでは少し多めに回さないとMFに切り替わりません。どちらの設定にしてもニコンのAFというのは、AF-Cモード(キヤノンで言うところのAIサーボAF)の最中でもピントリングを動かしたら瞬時にMFに切り替わります。キヤノンは親指AFやレンズのAFストップボタンなどを使用しないとAIサーボ中にMFに切り替えるのが難しいので、親指AFが苦手な筆者はこの機能のためだけにニコンの機材を持ち出すことがあります。ちなみにタムロン150-600mmは、キヤノン用でもピントリングを回しただけでAIサーボ中にMFに切り替わるのでキヤノン機でニコン純正レンズのような使い方が出来ます。

 

 

距離計
AF-S 300mm f/4E PF ED VR 外観

 

∞ のひとつ手前にくる数値が 7m なので、どちらかというと遠い距離のピント合わせがシビアなセッティングです。最短が1.4mなので、相当近距離に野鳥が来ても撮影できるのが強みですが、ここまで近くで撮影できることは稀ですからフォーカスリミッターはほぼ ∞-3m のセッティングで固定になるでしょう。

 

 

 

 

 描写性能
続いて皆さん気になる、テレ側/開放での実写データを揃えました。

 

 比較レンズ

  • タムロン SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD
  • AF-S 300mm f/4E PF ED VR + TC-17EU
  • AF-S 400mm f/2.8DU + TC-17EU

 

 使用カメラ

  • Nikon D7100

 

 撮影条件
部屋の中から50メートル先にある標識を『 絞り開放 』で撮影し、文字のシャープネスを比較する。ブレを押さえる為にジッツオ5型三脚を使用。空気の揺らぎやピントの僅かなズレも考慮し、ピントは何度か微調整をしながら『 カメラ+レンズ 』一組に付き100〜200枚程度は枚数を撮り、その中で一番シャープに文字が見える画像をセレクトする。感度はISO400に固定しシャッタースピードは1/400〜1/640程度を維持しました。

 

※画像クリックでピクセル等倍に拡大表示します
ニコン新型34VR 解像力比較

 

結論としては、428+TC-17E2 > 34VR+TC-17E2 > タムロン150-600mmとなりました。タムロン150-600mmは以前のテストではもう少しこの看板の文字がシャープに写ったと思うのですが、数百枚撮りなおしてもこれ以上のサンプルは出ませんでした。レンズを落としたりしたことはないのですが、もしかすると何かしらの劣化が生じている可能性もありますのでこのテストはあくまで参考程度に留めていただきたいと思います。

 

注目のニコン新型34VRは、1.7倍テレコンを入れても短焦点らしく50メートル先の看板の文字もシャープに写っていると思います。ただ、純正の428はナノクリ無しも関係ないと言わんばかりの描写力で新型の34VRを圧倒した描写を見せてくれました。旧型の428がここまで写るなら新型の34VRにはもう少し頑張って欲しかったというのが正直なところです。

 

 

 

 

 オートフォーカス速度
これも、多くの方が非常に関心を抱いている項目と思います。純正の単焦点レンズですのでこれも高速性能を期待していた部分です。テスト当日は小雨で日中からかなり暗く、AF速度が低下しやすい条件下で行いました。

 

 比較レンズ

  • タムロン SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD
  • AF-S 300mm f/4E PF ED VR + TC-17EU
  • AF-S 300mm f/4E PF ED VR
  • AF-S 400mm f/2.8DU + TC-17EU
  • AF-S 400mm f/2.8DU

 

 使用カメラ

  • Nikon D7100

 

 比較条件
部屋の中から先の解像力テストで用いた50メートル先にある標識の文字にピントを合わせる速度を比較する。フォーカスはあらかじめ一番手前の位置に持ってきておいて、そこからAFスタートとストップウオッチのボタンを同時押しして計測を開始。ピントが合ってピピッという電子音が鳴り終わるタイミングで計測をストップする。計測は各組み合わせで10回ずつ行い平均値を算出する。フォーカスリミッターは使用せず、どのレンズもFullフォーカスの状態で使用。カメラは『 D7100 』を使用し、いずれも中央の測距点のみを使用する。

 

 

それでは計測結果です!(計測10回の平均値)

 

 D7100

  • タムロン SP 150-600mm F5-6.3 Di VC USD  : 平均 1.42秒
  • AF-S 300mm f/4E PF ED VR + TC-17EU   : 平均 1.68秒
  • AF-S 300mm f/4E PF ED VR  : 平均 1.07秒
  • AF-S 400mm f/2.8DU + TC-17EU   : 平均 1.25秒
  • AF-S 400mm f/2.8DU   : 平均 0.72秒

 

結論としては、新型34VRは余りAF速度は速くないという事になりました。テレコン使用で遅くなるのは仕方ないとしても、テレコンなしでもスピードが遅い部類のレンズと言ってよいと思います。AF速度重視の撮影においてはやはり328、428などの高速AFで定評のあるレンズを使用するほうが好ましい結果を得られるでしょう。

 

 

 

 手振れ補正
これだけ軽量なレンズとなると、基本は手持ち撮影になりますから手振れ補正も非常に重要な項目です。筆者がレンズを構えたときの第一印象としては、やはり純正レンズらしくファインダー像の安定感は抜群で補正効果は高いように思いました。

 

そして、D7100に1.7倍テレコンを使用しているときに、長時間枝で休んでいるヒヨドリが居てその時に手振れ補正のテストを行わせてもらいましたので、その時の画像を載せることにします。

 

※画像クリックで拡大表示します
ニコン新型34VR 手振れ補正

 

シャッター速度を1/30に固定し、連続100枚シャッターを切った画像を切り抜いて並べました。黄色等の色がついた丸が付いている画像は筆者の判断で使える画像としたものです。単純計算で打率は25%程度と見て良いと思います。

 

しゃがんでひざ上に左腕を載せてかなり固定には意識して撮影しましたが、D7100に1.7倍テレコンを付けてSS1/30でこれだけの良像率が得られる(NGの原因は被写体ブレだけである可能性もあるので実際はそれ以上の確率)のは驚異的だと思いました。とまりものであればタムロン150-600mmとの比較ではISO感度を約2段落として撮影できる計算です。

 

※画像クリックで拡大表示します。適当に選んだ2枚を、輪郭強調やシャープネスを一切かけないピクセル等倍データで載せますのでご確認ください。
ニコン新型34VR 手振れ補正拡大

 

ニコン新型34VRは非常に高い手振れ補正効果を得られることが確認できました。ただ、実際の使用感としてはニコンのVR全般にいえるのですが、シャッターを切るごとに像がずれて戻ってくる仕様は何とかならないのかと思いました。新型FL428とこの34VRにはスポーツモードが搭載されており、これに切り替えると連写中でもファインダー像は安定するのですが、肝心の補正効果が 4.5段 ⇒ 2.0段 くらいにヒット率が落ちるような印象を持ちました。シャッタースピードが上げられるときの動体撮影などではスポーツモードを使用したほうが良いでしょう。

 

ちなみにキヤノンのISはどのレンズでも連写中に像がずれると感じたことはありません。ISはニコンで言うとベースとしてスポーツモード同様の見え方を維持しつつカタログどおりの手振れ補正効果があると言えるでしょう。手振れ補正だけで考えると、とまりものならニコンのVR、動体撮影ならキヤノンのISの方がやや有利ではないでしょうか。

 

この後、試しにSSを1/15まで落として撮影もしてみましたが、良像率は5%程度まで落ちました。1/8になるとさすがに拾える画像は一枚もなくなりましたので、余裕があるときは1/15で狙ってみても良いように思います。筆者は、1/30が安定して良像率が得られるベストなセッティングとしてISO感度を落としたい時に基本使用することにしています。

 

 

参考までにこのとき撮影したヒヨドリのオリジナル画像掲載しておきます。

 

オリジナル( 画像クリックで1200×1800に拡大表示します )
※露出補正、輪郭強調、コントラスト、カラーバランス、ノイズ低減処理など調整済み。
ニコン新型34VR 手振れ補正ヒヨドリ

 

ヒヨドリ : 4000×6000 ピクセルのFULL画像はこちら
※6MB程度の非常に重いデータになりますので閲覧にはご注意ください。

 

 

 

 PFレンズのボケ味
最後に、PFレンズのボケ味について述べておきます。フレア問題がとくに注目される DO、PFレンズですが、筆者の経験では野鳥撮影においてフレアが問題になることは殆どありません。筆者が以前使用していた『 EF400mm F4 DO IS USM 初期型』はPFレンズと同様のフレネルレンズを使用していましたが、非常に軽量ではあるもののボケが非常に煩わしくこれは野鳥撮影ではとても使えないと手放した経緯がありました。それゆえに、このニコンのPFレンズについてもフレア問題以前に同様の煩わしいボケが出てしまうのではないかという懸念は常に持ちつつ使用してきました。

 

結論から申し上げますと、この『 AF-S 300mm f/4E PF ED VR 』はフレネルレンズ特有のボケは見られるものの『 EF400mm F4 DO IS USM 初期型』と比べると大幅にボケ味は気にならないレベルになっており、十二分に野鳥撮影で実用可能なレンズと言って良いと思います。そこで『 EF400mm F4 DO IS USM 初期型』だったら、このシーンは撮りたくないというイメージサンプルを幾つかご用意しましたので、参考になればと思います。

 

 

画像クリックで1200×1800に拡大表示します
※露出補正、輪郭強調、コントラスト、カラーバランス、ノイズ低減処理など調整済み。
ニコン新型34VR ボケ具合ツグミ

 

白っぽい枯れ草が混在するような背景の場合、フレネルレンズは煩わしいボケになりやすい傾向があります。そのためツグミなどのゴチャゴチャしたところに居ることが多い地上性の野鳥は『 EF400mm F4 DO IS USM 初期型』では撮りにくい印象がありました。『 AF-S 300mm f/4E PF ED VR 』では、普通のレンズと比べてもさほど気にならないレベルにあると思います。

 

ツグミ : 4912×7360 ピクセルのFULL画像はこちら
※12.6MB程度の非常に重いデータになりますので閲覧にはご注意ください。

 

 

 

画像クリックで1200×800に拡大表示します
※露出補正、輪郭強調、コントラスト、カラーバランス、ノイズ低減処理など調整済み。
ニコン新型34VR ボケ具合シジュウカラ

 

背景の木々や木の葉などに日光があたり反射して光っているような場合もフレネルレンズは煩わしいボケになりやすい傾向があります。そのためこのサンプルのようなイメージでは『 EF400mm F4 DO IS USM 初期型』では撮りたくないなという印象がありました。『 AF-S 300mm f/4E PF ED VR 』では、見てのとおり普通のレンズと比べてもさほど気にならないレベルにあると思います。

 

シジュウカラ : 7360×4912 ピクセルのFULL画像はこちら
※8.8MB程度の非常に重いデータになりますので閲覧にはご注意ください。

 

 

画像クリックで1200×1800に拡大表示します
※露出補正、輪郭強調、コントラスト、カラーバランス、ノイズ低減処理など調整済み。
ニコン新型34VR ボケ味アオジ

 

続いて『 AF-S 300mm f/4E PF ED VR 』で実際に見られた気になるリングボケの作例をあげます。水場に近いところで餌を探しているアオジを撮影しているときに、水滴が太陽光で光る部分にPFレンズ特有のリングボケが見られました。

 

 

画像クリックで1200×800に拡大表示します
ニコン新型34VR リングボケ

 

拡大画像です。光源の光が強くボケの大きさが小さいときには、新型の『 AF-S 300mm f/4E PF ED VR 』でもフレネルレンズ特有の煩わしいリングボケが発生します。ゴチャゴチャした感じの白いもの、光るもの、明るいものが背景に入り、なお且つボケ量がやや小さいときにPFレンズ特有のボケが煩わしくなる度合いが顕著になります。フレネルレンズである以上この現象は避けられませんので、レンズの軽量さよりもボケ味を重視して撮影したい方は旧型の 『 AF-S 300mm f/4D IF-ED 』を選択した方がよいでしょう。

 

アオジ : 4000×6000 ピクセルのFULL画像はこちら
※7.11MB程度の非常に重いデータになりますので閲覧にはご注意ください。

 

 

この他に、D7100、D800Eを用いて撮影したサンプル( FULL画像 )や、野鳥撮影における実際の使用感を別ページにまとめましたので、こちらもご参照ください。

 

 

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 >>>> ニコン 34VR 実践レビュー(D800E編)へ

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