あなたの野鳥撮影におけるレンズ選びをサポート致します

テレコンバーター

 

野鳥撮影では、被写体に近づくことが難しいためテレコンバータを使用する機会も多いと思います。

 

テレコンは付けっぱなしという方もいれば、あくまで緊急用、中には絶対に使わないというポリシーをお持ちの方もいらっしゃるようです。

 

撮影したいイメージに合わせて使ったり使わなかったりというスタイルが理想なのですが、これにはテレコンを使うと使わないでどういう違いが出てくるのかという事を理解する必要があります。

 

 

題材として 400mmF2.8と x2テレコンバータ を取り上げますので、詳しく見ていきましょう。

 

テレコン概要図

 

 

 

野鳥撮影でのレンズの焦点距離のカテゴリで、焦点距離の違いは写る範囲に影響し、前面のレンズの直径が同じであればボケや立体感は変わらないとお話しました。テレコンについても同じことが言えますので、変化するのは写る範囲とF値という事になります。

 

ただそれだけなら 800mmF5.6 レンズは要らないし、400mmF2.8 レンズとテレコンを使用したほうが色々な画角を選べて便利と思われる方もいるでしょう。もちろんそういう選択が有用な場合もありますが、800mmF5.6 にはちゃんと 800mm専用設計ならではのメリットが存在しますのでしっかりと理解しておきましょう。

 


画質

光はレンズを通すと収差というにじみが出ます。凹凸レンズによる色消しや低分散レンズを使用しても、完全に消し去る事はできません。よって余計なレンズを通すことはにじみを増やし、コントラストやシャープネスを失うという画質の低下を招きます。テレコンバータを使用すると画質の劣化は避けられず、その劣化度はテレコンバータの倍率に比例し、さらに被写体との距離が離れるほど画質劣化が顕著になります。

 

従って、遠い距離の野鳥を大きく撮るのにテレコンは向いていません。遠い距離には長焦点距離のレンズを使用すべきです。反対に、近距離の野鳥を更に大きく撮りたいという場合にはテレコンは非常に有用です。

 

800mmF5.6LIS と 400mmF2.8LISU+2倍テレコン の中心部拡大画像サンプルテレコン実写サンプル

 

 

フォーカス

メーカーのカタログやHPを見るとテレコンバータ使用時はAF速度が低下すると延べられています。F値が上がりレンズが暗くなるからと思われますが、それなら 400mm F2.8 + x2倍テレコンバータと 800mm F5.6 のフォーカス速度は同じでもよさそうなものです。

 

ところが実際は800mmF5.6単体のほうが速く、特に暗くなるほどにテレコンバータ装着レンズのAF速度低下が顕著になります。ここからは著者の推測になりますが、フォーカスの距離計にその答えがあるように思います。

 

距離計を比べてみましょう。

EF 400mm F2.8L IS 3m → 3.5m → 4m → 5m → 7m → 15m → 30m → ∞
EF 800mm F5.6L IS 6m → 7m → 8m → 10m → 12m → 15m → 20m → 30m → 50m → ∞

 

野鳥撮影は5m以内に被写体が入る事は稀ですので 400mm の5m未満の部分を省いて考えると、フォーカスの動く範囲が 400mm はかなり狭く 800mm の方はかなり広いことがわかります。

では、被写体までの距離が18.5mだとすると正確にピントを合わせやすいのはどちらでしょうか?それは、フォーカスが動く範囲の広い 800mm の方です。マニュアルフォーカスを想定すると、フォーカスリングを回したときに動きがゆっくりの方が合わせやすいと考えると理解が早いと思います。AFでも同じ理屈で、精度を出すのが 400mm + テレコンバータの方が難しいためAF速度を落として精度を確保していると思われます。

 

 

まとめ

  • テレコンを使用すると焦点距離が伸び、写す範囲が狭くなり野鳥の解像力を上げられる
  • レンズの最大径は変わらないので、野鳥の質感・背景のボケ量は向上しない
  • テレコンの倍率に応じて、解像力とコントラストが低下する。マスターレンズの性能が高いほど影響は少なくなる
  • テレコンの倍率に応じて、AF速度が低下する。照度の高い状況では元々のスピードが速いため影響は少なくなる
  • 被写体との距離が遠いほど、画質劣化が顕著になる
  • 近距離の野鳥を更に大きく撮るのには向いているが、遠い距離の野鳥を大きく撮るのには向かない

 

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